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英検®取得は大学受験に有利?必要な級や試験概要、取得のメリット、注意点を解説

英語をはじめとした外国語は大学受験でほとんどの場合受験が必要な科目ですが、受験前に取得した英語の資格・検定試験のスコアを入試の合否に使用したり、優遇制度に用いていたりする大学があり、英検®取得が大学受験で有利になることがあります。

そこで本記事では、大学受験で英検®取得が有利になるポイントや大学受験で必要な英検®の級と難易度、大学受験を見据えた英検®取得の際の注意点などを解説します。

英検®とは? 英検®取得は大学受験に有利になる? 大学受験では英検®何級が必要? 英検®の試験概要と難易度 英検®の試験方式 将来にも生かせる英検®取得のメリット 大学受験における英検®取得の注意点 まとめ

英検®とは?

英検®は、東京オリンピックがきっかけで英語の普及・向上を目的に1963年から実施されている、国内最大級の英語検定試験です。

1級から5級の5段階の級に加えて1級と2級、2級と3級の間にそれぞれ準1級、準2級の計7種類の級があり、2025年度からはさらに準2級と2級の間に「準2級プラス」という新たな級が導入されます(※)。3級以上は筆記の一次試験、スピーキングの二次試験に分かれており、4級と5級は任意でスピーキングの受験が可能です。

英検®ではリーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4技能のバランスを重視し、技能を総合的に評価します。級が細かく別れているため高校生でも比較的受験しやすく、国内外で多くの教育機関に語学力を証明する資格として広く認定されています。

※参考:公益財団法人 日本英語検定協会.「準2級プラス特設サイト」https://www.eiken.or.jp/eiken/2025newgrade/index.html 

英検®取得は大学受験に有利になる?

英検®は幅広い世代が受験する検定試験ですが、大学受験の際に英検®を取得しておくと有利になることがあります。

英語外部検定利用入試(外検入試)に使われる

英語外部検定利用入試(外検入試)とは、英検®などの民間英語検定試験のスコアが得点化され、入試の合否判定の材料にされる方式です。さまざまな英語の検定試験のスコアが入試に使用できますが、その中でも英検®は勉強のしやすさから、外検入試への利用率が高いといわれます。

英検®資格を用いた優遇制度がある

外検入試に多く利用されている英検®ですが、取得者は大学入試で優遇制度が利用できる場合があります。具体的には、以下の3つが利用できるので、英検®を取得していれば大学入試を有利に進められるメリットがあります。

出願資格

英検®を含む外部の英語検定試験は、一部の大学で出願資格となっていることがあります。各大学が定めた一定以上の基準をクリアし、資格取得を証明する書類を提出することで出願が可能です。逆にいえば、このような大学は英検®などの英語検定試験を取得していなければ出願ができないのです。

総合型選抜や学校推薦型選抜では、英検®2級以上を条件にしていることもあるため、英検®で一定以上の級に合格していればより多くの大学の出願資格が得られます。

得点換算や加点

英検®などの英語検定試験のスコアは、共通テストや個別試験の得点に換算されたり加点されたりする優遇制度がある点も、取得が有利となる理由です。換算・加点される点は大学や検定試験の種類、取得スコア・級によって異なりますが、個別試験に換算される場合、別途個別試験を受験した上で、英語検定試験の得点と個別試験の得点のうち、どちらか高い得点の方で合否を判定する場合があります。

英検®準1級や1級取得者は外国語の試験が満点になることもあるため、英検®を取得することが入試で大きなアドバンテージになることが期待できるでしょう。

英語試験の免除

一般的な入試では外国語が必須科目ですが、英検®取得者は個別試験での英語の試験が免除される優遇制度もあります。英語の試験結果は、前述した得点換算として扱われます。

英語試験が免除される大学を受験する際、入試前に英検®を受験・取得していれば英語の入試対策をする必要がなくなり、他の科目の受験対策に集中しやすくなるでしょう。

大学受験では英検®何級が必要?

英検®は2025年1月現在、5級から1級まで計7種類の級がありますが、全ての級で大学受験が有利になるわけではありません。大学受験で英検®のスコアを利用するには、最低でも高校中級レベルに当たる準2級の取得が必要です。

英検®の優遇制度を実施している大学の多くは、高校卒業レベルに当たる2級を優遇制度の対象としています。そのため、英検®2級を取得していれば優遇制度を受けられる大学の数が増えます。

2級より難易度が高い準1級は大学中級程度のレベルとなるため、高校生の合格率は低い級です。その分、取得していると入試で高評価に結び付き、特に総合型選抜や学校推薦型選抜では有利になるでしょう。

また英検®の成績表では、英語力や技能を示すCSEスコアが表示されます。大学によっては、英検®のCSEスコアを優先したり出願条件に設定していたりする場合もあるので、合否に加えてCSEスコアも確認しておきましょう。

英検®の試験概要と難易度

英検®は、日本国内で最大級の英語検定試験で、実用的な英語能力を測る内容が出題されます。3級以上は一次試験と二次試験に分かれており、一次試験合格者がスピーキングの二次試験へ進むという形式です。

そこで、計7種類ある英検®の級の中から、大学入試で優遇制度を受けられる級として利用されることが多いレベルにあたる準2級~準1級の概要と難易度について解説します。

英検®準2級

準2級は高校中級程度の難易度で、履歴書で評価されるのはこの準2級からです。文部科学省では、高校卒業段階で英検準2級程度~2級以上を英語力目標の達成基準と定めているため、大学受験前に最低でも取得しておきたいレベルです。

準2級は、3級までに英語の基礎を身に付けた上で日常生活において必要な英語を理解できる基本的な応用力を持ち、次のレベルへ進むためのステップアップにつながる級として重要視されています。出題内容には、教育や化学がテーマの長文問題が含まれ、読解力が求められます。

英検®2級

英検®2級は高校卒業程度の難易度で、社会生活に必要な英語の理解・使用ができることが基準です。2級を取得することで、社会性のある話題の読み書き、会話ができることを証明できます。    

2級の問題では、英文読解で医療やテクノロジーなどの専門的なテーマが取り上げられることがあるため、合格するには準2級よりもさらに多くの語彙が必要となります。

大学入試で優遇制度の対象となる他、高校卒業後や大学在学中に留学を目指す場合は取得しておきたいレベルです。

英検®準1級

英検®準1級の難易度は、大学中級程度です。合格すると、2級よりも社会的な話題を深く理解・使用できることを証明できます。準1級の試験では、エッセイ形式の英作文の問題が出題されるため、実践的で使える英語力を持っているかどうかが評価されるのが特徴です。

準1級は大学中級レベルの難易度なので、大学受験前に合格することは簡単ではありません。しかし合格していれば実用的な英語能力を持っていることを証明でき、難関私立大学でも優遇制度を利用できます。

英検®の試験方式

英検®の試験方式には、従来型と英検®S-CBTの2種類があります。それぞれの試験方式にどのような違いがあるのか、概要や特徴とともに解説します。

従来型の英検®

従来型の英検は年3回実施され、3級以上で一次試験と二次試験が2回に分けて行われます。一次試験は通学している学校や塾、一般受験者と同じ試験会場で受験でき、連続した級であれば2種類の級の同時受験が可能です。

筆記試験の一次試験に合格した者のみ受けられる二次試験はスピーキングテストのみとなっており、一次試験合格後に指定された会場で受験します。

英検®S-CBT

英検®S-CBTは、コンピュータ上で受験できる試験方式です。英検®協会が指定した会場で、リーディングとリスニングはマウス操作、ライティングはタイピング型または筆記型、スピーキングは解答を録音する吹き込み方式で実施されます。従来型と試験方式が異なりますが、問題形式や難易度は変わりません。

英検®S-CBTは原則毎週土曜・日曜に開催しており、一部のエリアでは平日の受験も可能です。従来型の英検®は一次試験と二次試験を別日で実施しますが、英検®S-CBTは一日でスピーキングを含む英語の4技能を測れるのも特徴です。

従来型の英検®は年3回しか受験できないため、毎週行われる英検®S-CBTは従来型の試験日程に合わせることが難しい方でも受験しやすいメリットがあります。

将来にも生かせる英検®取得のメリット

総合的な英語力で評価される英検®は、大学入試で有利になるだけではありません。取得することによって、一生にわたり役に立つメリットも得られます。

一生モノの資格になる

他の英語検定試験では、取得後数年で資格が失効することがありますが、英検®には有効期限がありません。一度取得した英検®の級は、永久的に有効となります。

英検®のスコアは、大学受験だけでなく、就職活動や転職活動の際にもアピールポイントとなり、一生モノの資格といえるでしょう。

留学や仕事にも生かせる英語力が身に付く

英検®は、英語を使う上で必要となる4種類の技能を総合的に評価するため、取得のための勉強を進めることでバランスの取れた英語力を身に付けられます。5級から1級まで細かくレベル分けがされているので、それぞれの級の取得を目指す勉強を通して、幅広い場面で活用できる英語力の習得が期待できます。

グローバル化に伴い、海外で働いたり海外留学をしたりする機会が増えている中、実践の場で役立つ英語力を身に付けられるのも、英検®取得のメリットです。また就職の際にも、観光業界や航空業界などの英語を使う業種を志望する際に、英検®の取得は英語力を証明できる強みとなるでしょう。

大学受験における英検®取得の注意点

英検®の取得は大学受験においてさまざまな優遇制度を受けられ、実生活や就職後にも活用できるため、取得するメリットが多いものです。しかし、大学受験を念頭に英検®取得を目指す場合は、以下に挙げるようにいくつか注意するべきポイントがあります。

志望校の出願資格を確認する

英検®の資格は外検入試で使用できますが、その際の出願資格や要件は大学によって異なります。取得したスコアがその基準を満たしていない場合、出願ができなくなってしまいます。例えば、英検®の場合は2級以上が出願条件となっている大学では、準2級や3級しか取得していない場合は出願が不可能です。

英検®のスコアを外検入試で使う際は、自分が取得したスコアが基準をクリアしているかどうか、これから取得が必要かどうかなどを確認するためにも、志望校の出願資格は早い段階で確認しておくことをおすすめします。

志望校が設定している有効期限に気を付ける

英検®のスコアそのものには有効期限がなく、一生有効となる資格です。しかし、大学受験においては有効期限が設定されていることがある点に注意が必要です。

多くの場合「出願から2年以内のスコアのみを有効とする」と設定していることが多いので、あまり早いタイミングで英検®の資格を取得してしまうと、入試で使用できなくなってしまいます。

前述した志望校の出願資格を確認すると同時に英検®のスコアの有効期限も確認し、出願時に有効となるタイミングで計画的に受験しましょう。

英語以外の科目も手を抜かない

英検®のスコアは外国語の得点換算や加算、英語試験の免除となるメリットがありますが、大学受験の結果は英語の成績のみで評価されるわけではありません。他教科の成績が悪ければ、受験を突破することは難しくなってしまうでしょう。

また英検®などの英語検定試験のスコアで英語試験の優遇制度を受けている受験生は、他にもいます。同じ優遇を受けている受験生と争うには他教科の成績が重要となるため、英語以外の科目の受験対策で手を抜かないように注意しましょう。

まとめ

英検®で準2級以上の資格を取得していると、大学受験の際の英語試験で有利になる優遇制度が受けられます。社会人になっても有効な一生ものの資格なので、取得しておいて損はないといえるでしょう。ただし、大学受験に限っては大学の出願資格や有効期限が関わってくるため、志望校の条件を確認することが重要です。

仙台青葉学院短期大学でも、一般選抜において規定の英検®スコアで外国語試験を満点と見なす優遇制度を実施しています。現代英語学科は英語を総合的に学んで実践的な力を身に付けられるので、英語を活用できる場への就職を検討している方にもおすすめです。

英語が好きで将来英語を使った仕事がしたい方は、英検®取得で志望大学へ進学を目指してみましょう。