「その人らしい生活」を支援する、心身のケアのスペシャリストを目指す
食事やトイレ、遊びや仕事など、人が行うあらゆることを「作業」といいます。
作業療法士は病気やケガ、障害などによって支援が必要な「人」が、住み慣れた「環境」で、
その人にとって大切な「作業」に関わることができるように、人・環境・作業すべての側面から支援を行います。
作業療法士の主な仕事内容
作業に必要な技能の向上
対象者にとって大切な作業がうまくできるように必要な練習を行います。
(例)対象者が1人で入浴するために…
実際に1人で入浴する練習をします。
環境の調整・整備
対象者が作業を行いやすいように環境(道具・人・サービス)を調整します。
(例)対象者が1人で入浴するために…
浴室に身体を支えるための手すりを設置します
心身機能の改善・向上
対象者の大切な作業に必要な心身機能の改善を支援します。
(例)対象者が1人で入浴するために…
手を伸ばして手すりをつかむ練習をします
4年間の学びのポイント
1年次
人体の成り立ちや仕組みなど、医療従事者としての基礎を学び、作業療法の役割を理解します。
人体の構造と仕組み、心身の発達の仕方について学び、医療に携わるための基礎を築きます。
また、対象者の具体的な生活をイメージし、その中で作業療法士が担うべき役割について理解を深めます。
〔科目例〕
・リハビリテーション概論
・地域生活支援論
・解剖学Ⅰ・Ⅱ
・心理学 etc.
2年次
身体障害や精神障害、高次脳機能障害などの病態や症状を学び、作業療法の役割について理解を深めます。
1年次での人体構造の学修をもとに、さまざまな病気や障害の成り立ちと回復過程について学修します。
幅広い知識を修得するとともに、対象者を正しく評価する技術を身につけます。
〔科目例〕
・身体障害作業療法評価学演習Ⅰ・Ⅱ
・臨床心理学
・生活環境論 etc.
3年次
障害や疾患への治療法を学び、作業療法士として対象者と向き合うための技術を身につけます。
2年次で学修した各疾患に対する知識と検査・測定に関する技術をもとに、具体的な治療プログラムの立案と実践を行います。
また、対象者の社会的適応能力の改善のための作業療法評価と治療について学修します。
〔科目例〕
・身体障害作業療法学Ⅰ・Ⅱ
・精神作業療法
・職業リハビリテーション論Ⅰ etc.
4年次
知識と技術を活かして、一人ひとりの対象者にあわせた治療を行うための過程を学び、作業療法士としての応用力を高めます。
これまでに修得した知識と技術を個々の症状にあわせて実践していく過程を学びます。
地域医療やチーム医療において幅広く活躍できる作業療法士になるための確かな技術と応用力を養います。
〔科目例〕
・保健医療福祉連携論
・先端作業療法
・福祉住環境論 etc.
カリキュラム
科目紹介
基礎作業学演習Ⅰ
作業のもつ効用や治療への応用について学修します。作業分析についての知識や考え方を意識しながら各種作業活動に取り組み、作業が心身機能や活動にどのような影響を与えるのか理解を深めます。
日常生活活動学
人が日常的に行う作業を日常生活活動(ADL)と呼びます。ADLの意味、形態、機能の理解を深めるとともに、代表的な疾患や障害に対する作業療法支援のあり方について学修します。
地域生活支援論
地域で作業療法を実践していくため、身近な地域についての理解を深めます。車椅子利用者等の具体的な生活をイメージし、住み慣れた地域で安全に生活するためには何が必要であるかを学びます。
先端作業療法
技術進歩の目覚ましいリハビリテーション領域における最先端技術について学ぶとともに、イノベーションへの関心を高めます。ドライビングシミュレーターや3Dプリンタ、ロボティクス、ICTの活用など、作業療法に関連する最先端技術について学修します。
実習について
臨床実習
理学療法士、作業療法士に求められる実践的な能力を養成するため、臨床実習を実施します。
臨床実習は実践技術の修得に加え、対象者やその家族、施設スタッフとの関わりのなかでコミュニケーション能力を養い、信頼関係を築くことができる豊かな人間性を培う貴重な学修となります。
実習サポート
臨床実習中(臨床実習Ⅰを除く)は教員が実習先へ訪問し、学修のサポートをします。定期的な状況確認とヒアリングを行うことで一人ひとりの悩みや不安、課題に迅速に対応します。実習終了後は、学内での報告会や振り返りを行い、臨床実習で経験した内容の理解を深めていきます。
実習対策
授業で学んだ治療技術の理解を深めるだけでなく、コミュニケーション能力、心理面のサポート方法、マナーなど臨床現場で必要とされるさまざまなスキルを養います。実習前には学生一人ひとりがこれまでに身につけた基本的な知識や、臨床技術を確認するため、OSCE(客観的臨床能力試験)を行います。実習後は一人ひとりの改善すべき課題の解決方法について、教員のフィードバックを受けながら理解を深めます。
主な実習施設
宮城県
- 東北大学病院東北大学病院
- 東北医科薬科大学病院 若林病院
- 広南病院
- JR仙台病院
- 西仙台病院 etc.
福島県
- あづま脳神経外科病院
- 大原綜合病院
- 南東北春日リハビリテーション病院
- 南相馬市立総合病院
- 太田西ノ内病院 etc.
山形県
- 小原病院
- 介護老人保健施設メルヘン etc.
岩手県
- 盛岡友愛病院
- 総合花巻病院 etc.
秋田県
- 大湯リハビリ温泉病院
- 藤原記念病院 etc.
青森県
- 青森慈恵会病院
- 青森市民病院
- 村上病院
- 弘前脳卒中・リハビリテーションセンター
- 平内中央病院 etc.
東北6県以外
- 上尾中央総合病院
- イムス横浜狩場脳神経外科病院
- 船橋総合病院
- 筑波記念病院
- イムス横浜東戸塚総合リハビリテーション病院 etc.
※仙台青葉学院短期大学リハビリテーション学科実績(理学療法学専攻を含む)
設備紹介
リハビリテーション学部では、臨床現場で求められる実践力を身につけるための学修環境や最新鋭の解析方法を用いた演習環境を整えています。さまざまな解析データや検査・評価方法に触れることで、最先端のスキルを身につけることができます。
ADL(Activities of Daily Living)シミュレーター
キッチンやバスルーム、トイレなどでのADL評価やリハビリテーションの演習を行う設備です。手すりの位置や作業スペースの高さを変更し、実際の環境を再現することで、日常生活で必要な動作をシミュレーションすることが可能です。
ドライビングシミュレーター
運転が困難な患者が運転に復帰するための検査や練習を行う模擬運転装置です。難易度や昼夜設定をすることでさまざまな状況の評価が可能です。